コピーも、書くことと消すことでできている
人は、
書くことと、消すことで、
書いている。
(2006 トンボ鉛筆) ●CW:岩崎 俊一
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自分は、このコピーを見たとき、とても
ハッとさせられた記憶があります。
「書くこと」には「消すこと」も含まれている。
細やかで、しっかりと物事を見つめた先の視点。
そして、書くことを肯定しながらも、ここでは
「消すこと」にフォーカスしています。
以下のボディコピーが、その証。
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消しゴムを使う人を見ると、あ、この人はいま、一生けんめい
闘っているんだな、と、なんだかちょっと応援したくなります。
自分の想いを、正しく、わかりやすく伝えるにはどう書けばいいのか。
それと真正面から向きあい、苦しみ、迷いながら、でもなんとか
前へ進もうともがいている。消す、という行為には、人間の、
そんなひたむきな想いがこもっている気がしてなりません。
文房具づくりにたずさわって、まもなく100年。トンボは、
「書く道具」と同じくらい、「消す道具」を大切に育ててきました。
日本の定番と言ってもいい消しゴム。品質をみがくことで、
大きな市場を切り開いた修正テープ。そこにあるものを、すばやく、
美しく、カンタンに消し去ることで、この世にほんとうに、
生まれて来なければならなかったものが姿をあらわしてくる。
消すことは、また、書くことである、と信じるトンボです。
株式会社トンボ鉛筆
トンボが動いている。
人が、何かを生み出している。
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これを書いた岩崎氏は、
「やさしい言葉」で
「心地いいリズム」をつくり、読む人が
「一言一言うなずきながら」読み進むことを
考えながら、ボディコピーを書いたそうです。
最初の一文から、それが伝わりますね。
良いコピーは、「わかりやすい」し「快感」である。
岩崎氏は、池上彰さんの「わかりやすさ」を
例に挙げて、そう表現していますが、
このコピーも、十分その域に達している。
すくなくとも、自分の中ではこのコピーがそうでした。